ダマスクローズとは?クレオパトラも愛した「バラの女王」

ダマスクローズ

エッセージュシリーズの原料に使われているバラ、「ダマスクローズ」について調べてみました。バラの女王という愛称がついているくらい、世界中で愛されているダマスクローズですが、一般的なバラとはどのように違うのでしょうか。

古代から愛された中東原産のバラ「ダマスクローズ」

ダマスクローズは特に香りが高いことで古代から知られているバラです。 世界で2万種以上もあるバラのなかでも特に甘く芳醇な香りをもち「花の女王」とも言われ、ローズウォーターやローズオイルを抽出する品種として珍重されています。

ダマスクローズという品種について

ダマスクローズは、バラの原種の交雑種

「ダマスクローズ」という呼び名は一般呼称で、品種としては「ロサ・ダマスケナ」という名前がついています。ダマスクローズはバラの原種というわけではありませんが、原種に近いバラの交雑種であることが判明しています。現代には野生のダマスクローズはなく、栽培されたものだけです。

ダマスクローズは栽培用としても人気

ダマスクローズはガーデニングとして個人で栽培することもでき、バラを扱う園芸会社のウェブサイトを通じて苗を購入することもできます。バラ栽培上級者に人気があり、日本ではつるバラとして育てることが多いようです。ダマスクローズというグループの中にもさらにいくつか栽培品種があり、バラの品種改良の元としても重要視されてきました。

花束のバラとダマスクローズの違い

モダンローズ

バラの花束といえばロマンチックな贈りものの代表格ですが、花束として見かけるバラの多くは、茎がすらっと長く、花びらはシャープな形をしています。このようなバラをモダンローズといい、その姿は剣弁高芯という言葉で表現されます。剣先のような花びら、高く伸びた茎、という意味です。

ダマスクローズの花

ダマスクローズは、モダンローズとはかなり違った形をしています。首は伸びないで、葉に近くずんぐりと咲きます。ダマスクローズの花束というのは全国のお花屋さんを探してもまず見つからないと思いますが、それは、あまり花束に向いた形ではないというのが一番の理由です。

観賞用として美しい姿を追い求めて生み出されたのが花束用のモダンローズである一方、ダマスクローズはその先祖に近い種類であり、栽培目的も香料やローズ水を取るためです。それでこのように見た目にも違いがあるのです。

ダマスクローズの香りは何が違うの?

観賞用の姿が品種改良によって生み出されたのと同じように、香りもバラの品種改良においては大切な要素です。

バラの香りと聞くと「甘く濃厚な薔薇の香り」というようなフレーズをとっさに思い浮かべるものですが、じつは、バラの香りは多種多様です。甘くいかにも花らしい香りから、果物を思い起こさせる香り、バニラのような要素を持った香り、スパイシーな香りなど。

原種に近いダマスクローズの香りの成分は、モダンローズのいくつかの品種とは違う成分で構成されていることがわかっています。

ローズの香りの製品を出さない化粧品メーカーは存在しないと言っても過言ではないくらい、ローズの香りは人々に愛されています。もしかすると、人が「これがバラの香り」と思う香りは、意外と人によって差があるのかもしれません。

(参考文献 : バラの香りの美学/蓬田バラの香り研究所 著)

当店の「エッセージュ ローズシャンプー」については、「いわゆる濃厚なバラの香り」とは違った印象を持たれるお客様が多いようです。感じ方には個人差がありますが、どちらかといえばさわやかさや自然を感じる香りと表現されることが多いです。

ダマスクローズの歴史

古代のバラ、ダマスクローズ

中東地域の地図

ダマスクローズは中東の原産であるといわれています。人間がバラの栽培を始めたのは紀元前5000年頃のメソポタミア文明にまで遡るといわれていますが、ダマスクローズはバラの中でも比較的古くから栽培されていたようです。

古代エジプトの女王・クレオパトラ7世がダマスクローズを愛したともいいます。クレオパトラがバラ風呂を好んだといわれていますが、ダマスクローズはバラのなかではかなり古い種類であるため、この時に使われていたバラはダマスクローズだったのではないか、と目されているのです。

中東からヨーロッパへ

ダマスクローズがヨーロッパへもたらされたきっかけは13世紀の十字軍だったとされています。ダマスクローズの名前はシリアの首都ダマスカスにちなむとされていますが、ダマスカスは十字軍の同盟都市でした。アフガニスタンでは古くからダマスクローズを使った香水が生産されているなど、この頃にもダマスクローズは中東地域の各地で広く利用されていたようです。

その後のヨーロッパの歴史には、ダマスクローズのエピソードがたびたび登場します。イギリスのヘンリー8世が医師に贈ったのがダマスクローズであった、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌはバラの専門家でダマスクローズをこよなく愛した、など。

現在のダマスクローズの産地

ダマスクローズは非常に香りが良いため、ローズウォーターやローズオイルを取るために商業的に栽培されています。ダマスクローズのエッセンスは化粧品や食品として、世界中で利用されています。

現在のダマスクローズの最も大きな産地はブルガリアとトルコです。そのほか、フランス、インド、モロッコにも産地があります。有名ブランドのダマスクローズ化粧品はこれらの大きな産地で栽培されたダマスクローズを使用していることがほとんどです。チュニジアやアフガニスタンなどでも伝統製法のローズオイルや香水が作られていますが、こちらは生産量はわずかです。

ダマスクローズの町、カザンラク

ブルガリア カザンラク

ブルガリアのカザンラクという町は、バラの谷と呼ばれる地域にあります。ここがヨーロッパにおけるダマスクローズ栽培の起点と考えられており、そのはじまりは15世紀といわれています。現代でもカザンラクにはバラ博物館があり、バラが見事に咲き誇る6月のはじめにはバラ祭りが開かれ、世界中からの観光客を集めています。

ダマスクローズの利用法

古代から愛されたダマスクローズは、さまざまに利用されています。香水や化粧品だけでなく、ダマスクローズは食べることもできます。

香水

ローズの香水

ローズといえば香水の香りとしては王道です。たとえば世界中でもっとも有名な香水のひとつ、シャネル・ナンバー5にも、バラの香りが重要な要素として配合されています。

香料用として生産されているバラは種類が限られていて、ダマスクローズはそのひとつです。ダマスクローズを中心に使ったオードトワレ、オードパルファムは、バラの香りのなかでも甘ったるい濃厚な香りというよりは天然の生花をイメージさせるような自然な香りのものが多いので、幅広い年代にファンがいます。

化粧品

ダマスクローズのオールインワンジェル

ダマスクローズを使った化粧品で代表的なのは、ローズウォーターを使った化粧水です。バラ水は肌を清潔に保つのによいとされています。

そのほかにダマスクローズの化粧品といえば、ダマスクローズのエキスを使ったクリームや乳液もあります。

当店ハーブノートで取り扱っているエッセージュシリーズにも「エッセージュ エフ」があり、こちらはオールインワンタイプの美顔ジェルです。ローズ水の配合率が多めなので肌をすばやく潤すのに適しています。

入浴剤

バスソルトや入浴剤の香りとしてもダマスクローズは人気があります。お風呂でゆったりと湯船に浸かってバラの香りを嗅ぎ、リラックスして疲れを癒す……という場面を想像するとつい使いたくなってしまう、バラの香りにはそういった魅力があるのではないでしょうか。

シャンプー、ヘアケア製品

エッセージュ ローズシャンプー

ダマスクローズを使った製品でもうひとつお風呂で使うものといえば、シャンプーです。ダマスクローズのシャンプーは有名ブランドからもいくつか発売されているように、ローズシャンプーは幅広い年代の女性に愛されています。

当店ハーブノートで取り扱っている「エッセージュ ローズシャンプー」は、貴重な日本産ダマスクローズを使ったシャンプーです。

ダマスクローズを「食べる」

ここでは、ダマスクローズの利用法として食べるものを挙げます。バラは食べられるお花(エディブルフラワー)としても広く使われています。バラは古代から薬として用いられており、お花を口にすることは意外と歴史のあることなのです。

ばらジャム

ばらジャムのイメージ

ばらジャムは香りがよく、作るのにもわりと簡単で日持ちがしますので、自作するのにも向いています。ばらジャムを加えて作ったパウンドケーキやシフォンケーキもおいしいですよね。また民間療法として、ブルガリアやイランではバラのジャムやシロップをお腹の調子が良くないときに食べるといいと言われているそうです。

ちなみに当店ハーブノートでも、過去にダマスクローズの生花を販売していたことがありますが、それを用いて自作ジャムに挑戦されたというお声を聞いたことがあります。「意外とカンタンでした」とのことです。

ダマスクローズの料理

肉料理と薔薇水

イランやインド、中東一帯の国ではローズウォーターやバラの花びらを粉末状にしたものを料理に使うことがあります。ダマスクローズは意外にもお肉に合います。イラン料理では鶏肉をローズウォーターで漬け込んで焼くレシピが広く親しまれていたり、ピラフやグリル料理にローズウォーターを振りかけることもあります。

ダマスクローズのお菓子

ダマスクローズとピスタチオのヌガー

ヨーロッパでもバラをお菓子に使うことはしばしばあり、マジパンやヌガー(ハチミツ、ナッツ、卵白などを固めた歯ごたえのあるお菓子)が挙げられます。日本ではまだそれほどメジャーな存在ではないバラのお菓子ですが、甘いものにはバラは比較的何でも合います。アイスクリーム、ゼリー、パウンドケーキ、マドレーヌなどにしても美味しくいただけます。

ハーブティー

ハーブティーのイメージダマスクローズのハーブティーは香り高く、心を落ち着けたいときにもってこいです。ダマスクローズを乾燥させたものを単体で用いるローズハーブティー、紅茶とブレンドしたフレーバードティーなどがあります。

ちなみに、ローズ単体のハーブティーはバラのようなピンク色にはなりません。淡い黄色です。バラのピンク色を期待しているとちょっと残念な気もしますが、ただし香りは素晴らしいものです。

ダマスクローズが育つまで

エッセージュシリーズの原料バラを育てている花とハーブの農園「ダマスクの風」で、ダマスクローズ栽培の様子を教えていただきました。ダマスクローズが原料として収穫できるように育つまで、およそ2年かかります。

1年目:ダマスクローズの土台を育てる

こちらのダマスクローズの栽培では「接ぎ木」という手法を使います。接ぎ木とは、異なる植物の切断面を接着してひとつの個体にする栽培法です。日本の気候に合った野バラを継ぎ台として用いることで、その後の生育を早くし、バラ自体も強く育つという利点があるそうです。一般向けにガーデニング用に販売されているバラの苗も、日本ではほとんどがこの手法で作られたものです。

ダマスクローズの土台となる野バラの種

ダマスクローズを育てるには、まず継ぎ台の野バラを育てることからはじめなければなりません。野バラの種を秋に収穫し、冬に種をまき、ビニールハウスでおよそ1年育てます。ちなみに、写真で園長さんが手に持っているのが、野バラの種です。

ダマスクローズを接ぎ木する

ダマスクローズの接ぎ木

いよいよ、野バラにダマスクローズを接ぎ木します。バラの接ぎ木は、枝が休眠状態に入っている12月から1月にかけて行われます。寒い時期なので、とても大変な作業です。

ダマスクローズ、ようやく畑へ

ダマスクローズ畑の様子

接ぎ木されたダマスクローズは、接いだところがじゅうぶんに定着するまで育てられます。5月初め、ダマスクローズは本栽培用の畑に移されます。

ダマスクローズ畑の様子

この農園では、ダマスクローズの両脇にバラの肥料となってくれるハーブを一緒に植えます。この農園では農薬は使わず、ハーブを組み合わせることによる自然の力や天然素材から作った防虫剤を利用してダマスクローズを育てています。

たくさんの日光を浴びせて育てる

ダマスクローズはさらにここからおよそ一年間、手間ひまをかけて育てられます。バラはとくに株元に日光をあててあげる必要があり、草が生えすぎないように2〜3日おきに見まわる草管理がとても大事です。除草する雑草はごく一部のみにとどめ、土を豊かにしてくれる肥料として活かします。

バラは害虫や病気の影響を受けやすい植物です。日々のこまやかな管理が欠かせません。個人でバラを育てたことのある方なら、ダマスクローズを農薬なしで、しかも商業製品に使えるだけの量を管理し育てるのがいかに難しいかお分かりいただけるのではないでしょうか。

ダマスクローズの開花

このように大切に育てられたダマスクローズは、5月に花をつけます。これを収穫してダマスクローズ水を作ります。

ダマスクローズのバラ水はこんなふうに作られます

ローズのうるおいイメージ

収穫されたダマスクローズから、エッセンスの溶け込んだバラの蒸留水(ローズウォーター)を作ります。この蒸留水が、シャンプーの成分やエッセンシャルオイルの元として使われます。

ダマスクローズを早朝に収穫

ダマスクローズの手摘み収穫

ダマスクローズは早朝に開花し、日が高くなるにつれて花びらを開いていきます。花びらが開ききってしまうと香りがおちるため、ダマスクローズの収穫は早朝から行われます。

「ダマスクの風」は2013年にJASオーガニック認定を受けています。このため、摘み取ったダマスクローズを入れる袋や器具にも規定があります。

摘み取られたダマスクローズ

ローズ水の蒸留にはダマスクローズの花びらだけを使うため、摘み取ったダマスクローズから花びらだけを取り分ける作業を行います。花びらと萼を分離する作業は手作業で丁寧に行われています。

ダマスクローズの花びらを分離したところ

ダマスクローズのバラ水の蒸留

銅製の蒸留機

ダマスクローズの花びらが新鮮なうちに蒸留します。

独特な形をした銅製の器具は「アランビック」と呼ばれます。ポルトガルの職人が作る伝統的な道具で、現在も欧米を中心に使用されている蒸留器です。この蒸留器にダマスクローズの花びらをぎゅっと押し込め、天然の地下水を加えて加熱します。

ダマスクローズ水蒸留の模式図

ダマスクローズの花びらと水を加熱すると、バラのエッセンスをたっぷりと含んだ蒸気がたちのぼります。この蒸気を冷やしたものが芳香蒸留水(ローズ水)です。また、このローズ水に浮く天然の油分が、ローズオイル、エッセンシャルオイルと呼ばれるものです。

低温熟成保存

こうして抽出されたローズ水、ローズオイルは4ヶ月以上低温熟成保存されたのち、製品として使用されます。このようにすると青臭さがなくなり、ダマスクローズのエッセンスはより芳醇な香りを放ちます。ダマスクローズを蒸留する現場ではそれはすばらしい香りが立ち込めますが、数ヶ月間寝かせたローズ水もやはり同じようにすばらしい香りを保つことには大自然の底力を感じるものです。

ちなみにこちらの農園ではダマスクローズだけでなく、ゼラニウムやミントなど他の花やハーブを使った芳香蒸留水も作られています。

貴重な国産ダマスクローズ水を使ったシャンプー

ダマスクの風

ダマスクローズといえば世界的に有名なのはブルガリア産で、著名ブランドのダマスクローズ化粧品の多くはブルガリアローズを使用しています。

一方、当店が取り扱っているエッセージュ ローズシャンプーの原料ローズ水は、鹿児島県鹿屋市「ダマスクの風」で生産したものを使用しています。ダマスクローズの町・ブルガリアのカザンラクをご紹介しましたが、鹿屋市もロゴマークにバラの意匠を使うなど、「バラのまち」をキーワードにした町おこしを行なっています。

JASオーガニック認定証(複製)

「ダマスクの風」は2013年に農林水産省のオーガニックJAS認定を受けています。ダマスクローズをはじめ花や多数のハーブを育てている農園で、農薬を使わない栽培を実践しており、自然の力を生かした農法や、雑草や虫を完全には排除しない方法をとっています。

ブルー・ビー

このような農法が環境を良くするおかげなのか、農園には「ブルー・ビー」という種類の蜂が飛来します。ブルー・ビー(ルリモンハナバチ)は環境の良いところにしか生息せず、地域によっては絶滅危惧種に指定されている場合もあります。珍しく可愛らしいその姿を見ると、その人には幸せが訪れるという言い伝えがあります。

ハーブノート

ちなみに当店のロゴにもブルー・ビーをあしらいました。豊かな自然への感謝と、お客様や関係者の皆様に「幸せが訪れますように」という思いを込めたブルー・ビーです。

ダマスクローズの化粧品やヘアケア製品はファンが多く、長期的に流行が続いています。貴重な国産ダマスクローズを使ったエッセージュシリーズをぜひ一度おためしください。

国産ダマスクローズ水を使った、アミノ酸系&ノンシリコンシャンプー

エッセージュ ローズシャンプー

エッセージュ ローズシャンプーは鹿児島県産ダマスクローズ水を使い、ヘアサロン向け製品で数多くの実績を持つ鳴尾化学研究所が開発したシャンプーです。アミノ酸系洗浄成分使用で、ノンシリコン。髪にハリ・コシを与えてくれるシャンプーです。ぜひ一度使ってみてください。

エッセージュ ローズシャンプー